食べた食塩量を計測する方法には色々あります。一般的に次の調査方法が良いと言われています。
・計測した食塩摂取量の信頼性が高いもの。
・簡単に測定出来るもの。
また研究用、栄養指導用などの用途や予算、労力などの条件でも異なってきます。

色々な食事調査方法について利点と欠点について見てみましょう。

栄養摂取の評価

陰膳法

摂取した食物の実物と同じものを同量用意し、それを化学分析して評価する方法。

《メリット》
非常に正確に栄養素量が把握できるため、信頼性は最も高い。
《デメリット》
食べたものと同じものを用意する負担が大きい。分析には手間と費用がかかる。

食事記録法

朝食、昼食、夕食、間食、夜食について食事時間、献立名、食品名、量を記録してもらう。
調理前の食品重量、容積を書く秤量記録法と、ポーションサイズ(個、杯、枚、切れなど)を記入する目安量記録法(非秤量法)とがある。

《メリット》
調査手法の標準化と適切な精度管理が確保できた場合は、信頼性に優れる。
《デメリット》
記入の内容が細かいため、対象者の負担は大きい。
記録が不十分だと正確な摂取量にならない。
通常の食事と異なり、記録しやすい食事になることがある。
 

24時間思い出し法

前日の1日(24時間)の食事記録(時間、献立、食品、量)を思い出して記録してもらう。
訓練された管理栄養士が、フードモデルや写真などを用いて目安量を尋ねる。

《メリット》
患者の負担は小さい。食事時間や食生活、知識などの情報も聞き取れる。
調査手法の標準化と適切な精度管理が確保できた場合は、信頼性に優れる。
《デメリット》
思い出せるのはせいぜい1日であり、長期間は行えない。
患者が思い出せない場合は精度に欠ける。面接者に聞き取る技術が必要である。

食物摂取頻度調査

食品をリストアップした専用の調査書(Food Frequency Questionnaire :FFQ)を用いて、指定された期間の摂取頻度と量を自記入や面接により調査する。

《メリット》
構造化された調査書を用いるため、患者の負担は小さい。
大人数を対象とする疫学調査に適しており、信頼性に優れる。
《デメリット》
リストアップした食品しか情報が得られない。
調理や調味料の定量的な情報が把握できない。
調査には専用のソフトが必要。

食事歴法

食物摂取頻度に個人の食習慣の聞き取りを組み合わせた方法。
Brief-type Dietary History Questionnaire (BDHQ)は、この手法を応用した質問票。

《メリット》
食事摂取頻度調査では分からない調理・調味の情報を反映させる。
《デメリット》
精度を高めるには調査に時間、技術が必要となる。調査には費用が必要。

写真撮影法

摂取する料理を撮影する。実際の大きさがわかるように、物差しや計量カップなどを横において撮影する。AIによる自動判定もある。

《メリット》
簡便で患者の負担は小さい。
《デメリット》
料理に使用された食品の詳細や味付けは分からない。

食事の評価

食事バランスガイド

「何を」「どれだけ」食べたらよいのかを料理から判断し、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」という5つの料理、「水・お茶」、「菓子・嗜好飲料」をコマをまわす絵で表現したもの。

《メリット》
食事バランスが悪いとコマが転けることから自分に足りない食事をチェックすることができる。
食材別ではなく、料理で見せることで誰でも簡単に理解できる。
《デメリット》
分析には専門家の知識が必要であり、調査用紙の記入が難しい。
 

食生活の評価

料理調査法

調査対象者の料理日記をもとに「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」、さらに「高食塩料理」「菓子」「アルコール」を食事パターンに分析し、平均した食事バランスを皿数の増減で評価する当法人独自の調査方法。

《メリット》
料理日記が書ける人なら子どもから高齢者まで誰でも簡単に調査できる。
結果が各料理の皿数で指導されるので、自分で食生活を改善をすることができる。
《デメリット》
食事量の記載を求めないため、食事量の過不足はBMIで判断する必要がある。