「1週間の食塩49g」の4つの食事パターン例

対象者の目標食塩摂取量や食生活に合わせて、減塩と食事バランスを兼ねそなえたオリジナルの食事パターンを作ってみましょう。

最初は、普段食べている主食を知ること。主食が決まれば、主食の食塩量と、付随するおかずの食塩量を考えます。
この計算式を用いると、患者さんが希望する食事頻度を入力すると指導する事が可能です。

ここでは、一日の食塩量を7g未満にする食事パターンを4つご紹介します。

パターン1(朝食パン)

パターン1は、朝食はパン、昼は色々な主食、夕食は白ごはんの主食パターンです。
この場合は、1週間の食塩量は49.0gとなります。

朝:パン7回(牛乳・乳製品、果物)
昼:白ごはん2回(漬物)
  味付きご飯2回
  麺類2回
  ラーメン0.5回
  その他の主食0.5回
夕;白ごはん7回(汁物)
パターン1は、朝食はパン、昼は色々な主食、夕食は白ごはんの主食パターンです。
この場合は、1週間の食塩量は49.0gとなります。

朝:パン7回(牛乳・乳製品、果物)
昼:白ごはん2回(漬物)
  味付きご飯2回
  麺類2回
  ラーメン0.5回
  その他の主食0.5回
夕;白ごはん7回(汁物)

パターン2(朝食ご飯)

パターン2は、朝食がパンではなく白ご飯のパターンです。
この場合は、1週間の食塩量は49.0gとなります。

朝:白ご飯7回(汁物、牛乳・乳製品、果物)
昼:白ごはん2回(漬物)
  味付きご飯2回
  麺類2回
  ラーメン0.5回
  その他の主食0.5回
夕;白ごはん7回(汁物)
パターン2は、朝食がパンではなく白ご飯のパターンです。
この場合は、1週間の食塩量は49.0gとなります。

朝:白ご飯7回(汁物、牛乳・乳製品、果物)
昼:白ごはん2回(漬物)
  味付きご飯2回
  麺類2回
  ラーメン0.5回
  その他の主食0.5回
夕;白ごはん7回(汁物)

パターン3(朝食パン+麺類食べない)

パターン3は、麺類もラーメンも食べない人のパターンです。
この場合は、1週間の食塩量は48.3gとなります。

朝:パン7回(牛乳・乳製品、果物)
昼:白ごはん3回(漬物)
  味付きご飯4回
  麺類0回
  ラーメン0回
  その他の主食0回
夕;白ごはん7回(汁物)
パターン3は、麺類もラーメンも食べない人のパターンです。
この場合は、1週間の食塩量は48.3gとなります。

朝:パン7回(牛乳・乳製品、果物)
昼:白ごはん3回(漬物)
  味付きご飯4回
  麺類0回
  ラーメン0回
  その他の主食0回
夕;白ごはん7回(汁物)

パターン4(朝食パン+ラーメン食べない)

パターン4は、麺類は食べるがラーメンを食べないパターンです。
この場合は、1週間の食塩量は49.1gとなります。

朝:パン7回(牛乳・乳製品、果物)
昼:白ごはん2回(漬物)
  味付きご飯2回
  麺類3回
  ラーメン0回
  その他の主食0回
夕;白ごはん7回(汁物)
パターン4は、麺類は食べるがラーメンを食べないパターンです。
この場合は、1週間の食塩量は49.1gとなります。

朝:パン7回(牛乳・乳製品、果物)
昼:白ごはん2回(漬物)
  味付きご飯2回
  麺類3回
  ラーメン0回
  その他の主食0回
夕;白ごはん7回(汁物)

注意事項)表の赤字部分の減塩方法

パン:パンはすでに塩が入っているので、塩辛いトッピングをしない。
主菜:主菜の1皿の食塩量は平均1.5g → これを1.2gに減塩。調味料の使い方を注意します。
副菜:品数は多くてもいいのですが、皿数に関わらず、食塩量は合計0.6gにします。
漬物:食塩量が平均0.6g → これを0.4g(2/3量)にします。
汁物:食塩量が平均1.5g → これを1.0g(2/3量)にします。
・ラーメン・めん類は汁を残します。
・それ以外は減塩しないでOKです。食べる頻度で調整します。

食事パターンは多種多様

さあ、いかがでしょうか。
上記はたった4つのパターンでしたが、本当に色々なパターンが考えられます。
患者さんの食習慣をベースに、この減塩&食事バランスを取り入れた食事パターンを習慣化できるように、指導することをお勧めいたします。
患者さんを定番の減塩メニューに合わせるのではなく、患者さん主体の具体的な食事パターンの提案は、今までと違った意義のある指導となると思います。
【ちょっと多い一言】
患者さんは、食べた食塩量を数値で確認することができません。
そのため、減塩指導では、指導者自身が減塩することに肯定的であることが重要です。
指導者が「減塩したほうが体が喜ぶ」「減塩した方が美味しい」と心から思っていると、その感覚は患者さんにも伝わります。

《減塩したほうが体が喜ぶ》
ここからは私の体験ですが、私は自分の許容範囲を超えて食塩を摂取した場合は、それ以上の食塩が入った料理が食べられなくなる経験を何度かしています。
前日の夕食、次の朝食、昼食と想定以上に塩辛いものを3食、連続して食べると、その後の夕食では食塩の入った料理が全く食べられなくなるのです。
相当な量の水をひたすら飲んでもトイレに行きません。体はむくむし、こめかみの血管も浮いてきます。
その時に血圧を測ってみたら、今までみた事もないような血圧上昇にもなっています。
お腹は空きませんが、決して満腹ではありません。
不思議と食塩が入っていないもの、例えば甘味、果物、飲み物は、普通に食べたり飲んだりは出来るのです。
甘いものは別腹」とよく聞く言葉ですが、もしかしたらこの不思議な現象は食塩が原因ではないかと思ったのです。

私は、この現象を、自分の体に入る食塩量の限界として「塩キャパ」と命名しました。
自分の塩キャパは食塩何gなのかは分かりませんが、それをオーバーした時に、高食塩摂取の苦しみが生じるのではないかと思うのです。
またその反対に、減塩した時の体のスッキリ感もあります。
1食分でも、食塩がちょっともの足らない時に感じる爽やかさは、本当に体が喜んでいるような気がします。
今は、塩キャパが超えそうだと感じた時は、すぐに果物を買って(りんごやみかんなど、手軽に食べられるものを必死で買い求めて?)食べます。
すると、カリウム摂取で尿中排泄が促されて、塩キャパの苦しみから回避出来ているように思います。

さて、研究で多くの人々の1日食塩摂取量を見ると、食塩摂取量には上限と下限の幅があります。
下限は、食事をしていない場合や甘いものだけを摂取している場合で、限りなく0に近づきます。
しかし、上限は、いくら食塩が好きだといっても1日に20g以上摂取する人はグッと少なくなるのです。
きっと、それぞれ個人差はあるとしても、食塩摂取量の許容量(塩キャパ)はあるのではないでしょうか。
皆さんはいかがでしょう?このような体験はあれば教えてください。

《減塩した方が美味しい》
よく「減塩すると素材の味がわかる」と言いますが、この感覚もぜひ試してほしいと思います。
丁寧に作られた野菜、肉や魚の個体差、例えば平飼いの鶏肉など、美味しい素材の有り難みを心から感じます。
残念ながら、素材の味を隠す目的で味を濃くすることもあるのですが、どれを食べても同じ調味料の味では楽しめません。
素晴らしい素材の味は、ぜひ調味料で隠さずに、そのまま減塩または無塩で楽しんでみてください。
本当に美味しいんです。
より自然の恵み、食材への感謝が深まります。