このセクションは、減塩に関する疑問をもとに研究した結果を示します。

食塩源のエビデンス

日本人の食生活の中で、食塩はどの料理に含まれているのでしょうか。
味噌汁でしょうか。漬物でしょうか。ラーメンでしょうか。

私たちは、ある地域住民の研究において、どんな料理からどれくらいの食塩を摂取しているかを調べました。
成人男女76人が1ヶ月間毎日、尿サンプルから求めた食塩排泄量と食事記録とを分析したところ、人々の食べている料理の一皿に含まれる食塩量が分りました。
また、人々が食べる料理の組み合わせ方もわかりました。
研究結果によれば、従来から考えられてきた味噌汁や漬物(いわゆる高食塩の料理)が食塩摂取の中心ではありませんでした。
大部分の食塩は、主菜・副菜・主食に含まれていたのです。
 ↓
出典:「日本人の食生活における一皿あたりの食塩摂取量:家庭での食生活の目標設定の手掛かりに」

M. Imamoto, Toshihiko Takada, Sho Sasaki, K. Kato, Y. Onishi. ;Salt intake per dish in the Japanese diet a clue to help establish dietary goals at home., JNS 2021

日本人の食生活の中で、食塩はどの料理に含まれているのでしょうか。
味噌汁でしょうか。漬物でしょうか。ラーメンでしょうか。

私たちは、ある地域住民の研究において、どんな料理からどれくらいの食塩を摂取しているかを調べました。
成人男女76人が1ヶ月間毎日、尿サンプルから求めた食塩排泄量と食事記録とを分析したところ、人々の食べている料理の一皿に含まれる食塩量が分りました。
また、人々が食べる料理の組み合わせ方もわかりました。
研究結果によれば、従来から考えられてきた味噌汁や漬物(いわゆる高食塩の料理)が食塩摂取の中心ではありませんでした。
大部分の食塩は、主菜・副菜・主食に含まれていたのです。
 ↓
出典:「日本人の食生活における一皿あたりの食塩摂取量:家庭での食生活の目標設定の手掛かりに」

味噌汁・漬物は減塩の敵?

次のグラフは、1ヶ月に食べた料理の食塩源です。
全体を見てみると、味噌汁は11%漬物は3%と、意外に味噌汁と漬物の寄与率は低かったのです。
漬物や味噌汁などの高食塩料理が多いと考えられている地域でしたが、意外な結果となりました。
もし、毎日、味噌汁や漬物を食べているならば、当然そこを指導する必要がありますが、それほど食べていないケースであれば、食塩源の問題は別のところにあるはずです。
食塩摂取の寄与率
M. Imamoto, Toshihiko Takada, Sho Sasaki, K. Kato, Y. Onishi. ;Salt intake per dish in the Japanese diet a clue to help establish dietary goals at home., JNS 2021
次のグラフは、1ヶ月に食べた料理の食塩源です。
全体を見てみると、味噌汁は11%漬物は3%と、意外に味噌汁と漬物の寄与率は低かったのです。
漬物や味噌汁などの高食塩料理が多いと考えられている地域でしたが、意外な結果となりました。
もし、毎日、味噌汁や漬物を食べているならば、当然そこを指導する必要がありますが、それほど食べていないケースであれば、食塩源の問題は別のところにあるはずです。

主な食塩源は主菜と副菜

食塩摂取量の供給源となった料理の割合をみると、主菜は35%副菜は19%を占めていました。
私たちが食べている食事の大きな食塩源は食事には欠かせない主菜と副菜だったのです。
高塩分料理ではないので注目されていなかった主菜と副菜。
ここの指導を無くしては、減塩は難しいと言えます。

一方、全体の30%を占める主食を見てみると、パンから食塩が入るのは平均して10%と主食の中では最も大きな寄与率となりました。日常的にパン食が幅広く取り入れられているのでしょう。
高食塩料理の代表と言えるラーメンの寄与率は3%程度でした。
この結果から考えると、患者さんの食生活の中に漬物、味噌汁、ラーメンがあるかを探すだけではなく、主菜と副菜の内容や食べ方に目を向けることが大変重要です。
​​​​※白いご飯は食塩を含まないため分析には入っていません。
食塩摂取の寄与率
M. Imamoto, Toshihiko Takada, Sho Sasaki, K. Kato, Y. Onishi. ;Salt intake per dish in the Japanese diet a clue to help establish dietary goals at home., JNS 2021
食塩摂取量の供給源となった料理の割合をみると、主菜は35%副菜は19%を占めていました。
私たちが食べている食事の大きな食塩源は食事には欠かせない主菜と副菜だったのです。
高塩分料理ではないので注目されていなかった主菜と副菜。
ここの指導を無くしては、減塩は難しいと言えます。

一方、全体の30%を占める主食を見てみると、パンから食塩が入るのは平均して10%と主食の中では最も大きな寄与率となりました。日常的にパン食が幅広く取り入れられているのでしょう。
高食塩料理の代表と言えるラーメンの寄与率は3%程度でした。
この結果から考えると、患者さんの食生活の中に漬物、味噌汁、ラーメンがあるかを探すだけではなく、主菜と副菜の内容や食べ方に目を向けることが大変重要です。
​​​​※白いご飯は食塩を含まないため分析には入っていません。
【ちょっと一言】
患者さんの食事記録を見るときは、まれにしか食べない高食塩料理よりも、頻繁に食べる主菜や副菜に注目する必要があります。

白飯は減塩の味方ではない

カレーや炒飯ではなく、白いご飯を食べた方が減塩できるといわれます。
栄養計算上はその通りなのですが、私たちが食べる食事は、普通、主食におかずが付いています。
では、その主食のセットにはどれくらいの食塩が含まれるのでしょうか?

下のグラフは、食塩摂取量を主食の種類別に推定したものです。
おかずも含めた1食でどれだけ食塩を摂取したかを示しています。
どの主食もおかずを含めると食塩量は1食3g近くになりました。
塩味のつかない白いご飯を食べれば減塩できるわけではないのです。
白いご飯は漬物や味噌汁、また味の濃いおかずと相性が良いのでしょう。
反対にラーメンや麺類もほぼ同じ3gですから、それだけを目の敵にすることもないのです。

ただ、どの主食を選んでも1食あたり3g程度であると、1日3回の食事では食塩は9g近くなります。
現在の日本人の食塩摂取量は平均して1日10gもありますから、1食だけではなく毎食減塩しないと、減塩の目標値(日本人の栄養摂取基準:男性7.5g、女性6.5g)には近づきません。

また、私たちの食事では、おかずだけ食べて主食を食べない時もあります。
その時は「主食なし」という分類ですが最も食塩量が多くなりました。
お酒のアテばかりだと食塩量は多くなるので、注意が必要です。
主食別食塩摂取量
M. Imamoto, Toshihiko Takada, Sho Sasaki, K. Kato, Y. Onishi. ;Salt intake per dish in the Japanese diet a clue to help establish dietary goals at home., JNS 2021
カレーや炒飯ではなく、白いご飯を食べた方が減塩できるといわれます。
栄養計算上はその通りなのですが、私たちが食べる食事は、普通、主食におかずが付いています。
では、その主食のセットにはどれくらいの食塩が含まれるのでしょうか?

下のグラフは、食塩摂取量を主食の種類別に推定したものです。
おかずも含めた1食でどれだけ食塩を摂取したかを示しています。
どの主食もおかずを含めると食塩量は1食3g近くになりました。
塩味のつかない白いご飯を食べれば減塩できるわけではないのです。
白いご飯は漬物や味噌汁、また味の濃いおかずと相性が良いのでしょう。
反対にラーメンや麺類もほぼ同じ3gですから、それだけを目の敵にすることもないのです。

ただ、どの主食を選んでも1食あたり3g程度であると、1日3回の食事では食塩は9g近くなります。
現在の日本人の食塩摂取量は平均して1日10gもありますから、1食だけではなく毎食減塩しないと、減塩の目標値(日本人の栄養摂取基準:男性7.5g、女性6.5g)には近づきません。

また、私たちの食事では、おかずだけ食べて主食を食べない時もあります。
その時は「主食なし」という分類ですが最も食塩量が多くなりました。
お酒のアテばかりだと食塩量は多くなるので、注意が必要です。

野菜を増やすと食塩アップ

次に、単独の料理別に、一皿あたりの食塩摂取量を推定しました。
下のグラフはその結果です。主食の白ご飯は食塩0gなので、分析には入っていません。

グラフで最も食塩摂取量の多い料理は、想像通りラーメンです。
栄養計算上ではラーメン1杯は5g〜10gという高食塩料理ですが、3.1gという値となりました。
高食塩料理には間違いないので注意は必要でが、ラーメンは全員が汁まで飲み干すわけではないと推察しています。

一方、味噌汁や汁物、漬物などは栄養計算通りの値となりました。
主菜1.5g、副菜0.9gは、色々な料理が考えられます。
どの料理を組み合わせても、これでは直ぐに食塩過多になってしまいます。

さて、表記の「野菜を食べると食塩アップ」とは、何故そう言えるのでしょうか。
副菜の大半を占める野菜料理は、食事バランスの目的に「野菜を食べましょう」と指導します
また、減塩のためのカリウム摂取を目的に「野菜を食べましょう」と指導します。
糖尿病などでは「海藻、キノコ、こんにゃくはエネルギーが少ないので多めに食べましょう」とも指導します。
しかし「副菜」をもう1皿追加したら、平均的に食塩0.9gが追加されてしまいます。
料理別食塩摂取量
M. Imamoto, Toshihiko Takada, Sho Sasaki, K. Kato, Y. Onishi. ;Salt intake per dish in the Japanese diet a clue to help establish dietary goals at home., JNS 2021
次に、単独の料理別に、一皿あたりの食塩摂取量を推定しました。
下のグラフはその結果です。主食の白ご飯は食塩0gなので、分析には入っていません。

グラフで最も食塩摂取量の多い料理は、想像通りラーメンです。
栄養計算上ではラーメン1杯は5g〜10gという高食塩料理ですが、3.1gという値となりました。
高食塩料理には間違いないので注意は必要でが、ラーメンは全員が汁まで飲み干すわけではないと推察しています。

一方、味噌汁や汁物、漬物などは栄養計算通りの値となりました。
主菜1.5g、副菜0.9gは、色々な料理が考えられます。
どの料理を組み合わせても、これでは直ぐに食塩過多になってしまいます。

さて、表記の「野菜を食べると食塩アップ」とは、何故そう言えるのでしょうか。
副菜の大半を占める野菜料理は、食事バランスの目的に「野菜を食べましょう」と指導します
また、減塩のためのカリウム摂取を目的に「野菜を食べましょう」と指導します。
糖尿病などでは「海藻、キノコ、こんにゃくはエネルギーが少ないので多めに食べましょう」とも指導します。
しかし「副菜」をもう1皿追加したら、平均的に食塩0.9gが追加されてしまいます。
【ちょっと一言】
「野菜をたくさん食べましょう」という指導は、なんと減塩に相反する指導だったのです!
ただ、野菜を食べる量が少ない日本人に対しては必要な指導言葉です。
必ず食塩過多にならないよう、野菜摂取の時には減塩や無塩の副菜の摂り方指導が必要ですね。

白飯は食事バランスの味方、ラーメンは敵

少し減塩から離れて、食事バランスを見てみましょう。
せっかく減塩出来ても、食事バランスが悪いと、いい食生活とは言えません

この図は、住民が書いた食事記録の組み合わせから、主食と一緒に食べられている料理をみたものです。
主食と一緒に、主菜、副菜、乳製品、果物を食べているか、よく食べられているものを「++」、食べられているものを「+」、食べられていないものを「ー」、ほとんど食べられていないものを「ーー」として示しました。
何も関係しない場合は空白です。
結果として、白ご飯は、主菜・副菜を増やしていました。
白ご飯を食べると自然と主菜・副菜が摂取されて、食事バランスが良くなるという図式です。
一方、ラーメンは主菜・副菜・乳製品を減らし、食事バランスが悪くなる料理といえます。
また、パンは唯一乳製品を増やす主食で、パン食を取り入れていない患者さんには、乳製品の摂取が少なくないか注意する必要があります。
また、果物はどの主食とも関係がなく、意識して食生活に取り入れることが大切だとわかりました。

主食の選択によって食事バランスは随分変わります。
主食の選び方は食習慣そのものですので、減塩と食事バランスを両立させる指導を行うには欠かせない情報です。
主食と食事バランスとの関係
M. Imamoto, Toshihiko Takada, Sho Sasaki, K. Kato, Y. Onishi. ;Salt intake per dish in the Japanese diet a clue to help establish dietary goals at home., JNS 2021
少し減塩から離れて、食事バランスを見てみましょう。
せっかく減塩出来ても、食事バランスが悪いと、いい食生活とは言えません

この図は、住民が書いた食事記録の組み合わせから、主食と一緒に食べられている料理をみたものです。
主食と一緒に、主菜、副菜、乳製品、果物を食べているか、よく食べられているものを「++」、食べられているものを「+」、食べられていないものを「ー」、ほとんど食べられていないものを「ーー」として示しました。
何も関係しない場合は空白です。
結果として、白ご飯は、主菜・副菜を増やしていました。
白ご飯を食べると自然と主菜・副菜が摂取されて、食事バランスが良くなるという図式です。
一方、ラーメンは主菜・副菜・乳製品を減らし、食事バランスが悪くなる料理といえます。
また、パンは唯一乳製品を増やす主食で、パン食を取り入れていない患者さんには、乳製品の摂取が少なくないか注意する必要があります。
また、果物はどの主食とも関係がなく、意識して食生活に取り入れることが大切だとわかりました。

主食の選択によって食事バランスは随分変わります。
主食の選び方は食習慣そのものですので、減塩と食事バランスを両立させる指導を行うには欠かせない情報です。
【ちょっと一言】
食事バランスの指導では、主菜や副菜、また乳製品など増やしたい料理と相性の良い主食を勧めるのも方法です。
この研究結果は、食事バランスがいい日本食の、食塩過多になる原因が示されました。
この結果を元に考案した食事バランスと減塩を兼ねた減塩指導法は、「これからの減塩指導」でお示しします。