食事バランスも減塩も食生活には必要な要素です。
ただ、食事バランスを守るほどに食塩が増えていくおそれがあります。
いつも栄養指導で話をする食事バランスと減塩の関係には、どんな問題があるのでしょうか。

食事バランスが良い日本食

「和食」と「日本食」は違うの?
ユネスコに登録されている「和食」は、ここの料理ではなく、日本人の伝統的な食文化を象徴する言葉としての「和食」です。
すなわち、「健康的な食生活を支える栄養バランス」として、理想的な栄養バランスが取れた日本の食事スタイルを指しています。
和食は「飯、汁、菜、漬物」の組み合わせを基本とし、従来の伝統的な食事に肉類や乳類が加わった多様な食材を利用した「ー汁三菜」が広く認識されています。

ユネスコ無形文化遺産「和食」
(1)多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
(2)健康的な食生活を支える栄養バランス
(3)自然の美しさや季節の移ろいの表現
(4)正月などの年中行事との密接な関わり

出典:農林水産省(→詳しくは「減塩の基本情報」のセクションをご覧ください)


一方、「日本食」は、日本で食べられている食事全般の総称を言い、「和食」と異なり広い意味で用いられています。
ラーメンやカレーだけではなく、各国料理も日本で食べる場合は日本食の範囲に入ります。
日本食の理想的なスタイルの特徴として、食の多様性があります。

図のように様々な食材が入った料理を組み合わせた食事は、食事バランスが良いといえます。
一方、「日本食」は、日本で食べられている食事全般の総称を言い、「和食」と異なり広い意味で用いられています。
ラーメンやカレーだけではなく、各国料理も日本で食べる場合は日本食の範囲に入ります。
日本食の理想的なスタイルの特徴として、食の多様性があります。

図のように様々な食材が入った料理を組み合わせた食事は、食事バランスが良いといえます。

食塩が多い日本食

理想的な食事バランスである日本食ですが、食塩が多く含まれる傾向があります
この図は、ある朝食の食塩量を計算してみたものです。汁物、焼き物、煮物、和え物、漬物など一般的な味付けとして計算してみると、なんと食塩相当量が1食あたり7〜8gになってしまいます。
例えば、味噌汁を例に取ると、我々が美味しいと感じる味噌汁の食塩濃度はおよそ0.8〜1.0%であることから、一般的な汁の容量150mlの場合には約1.5gの食塩が含まれることになります。

見た目にも食事バランスの良い日本食なのですが、「ザ・和食」のようなイメージで料理を組み合わせてみると食塩量は、日本人の1日分の食塩摂取量を1食だけで摂ってしまうのです。


食事バランスが良い朝食の食塩量

理想的な食事バランスである日本食ですが、食塩が多く含まれる傾向があります
この図は、ある朝食の食塩量を計算してみたものです。汁物、焼き物、煮物、和え物、漬物など一般的な味付けとして計算してみると、なんと食塩相当量が1食あたり7〜8gになってしまいます。
例えば、味噌汁を例に取ると、我々が美味しいと感じる味噌汁の食塩濃度はおよそ0.8〜1.0%であることから、一般的な汁の容量150mlの場合には約1.5gの食塩が含まれることになります。

見た目にも食事バランスの良い日本食なのですが、「ザ・和食」のようなイメージで料理を組み合わせてみると食塩量は、日本人の1日分の食塩摂取量を1食だけで摂ってしまうのです。


日本食を減塩する病院スタイル

病院や施設献立では1日3回の食事全てに漬物や汁物を入れることはできません。

日本人の栄養摂取基準である食塩量に合わせると、和食のモデルである「一汁三菜」は1日に1回あるかどうかで、残りの食事は漬物や汁物のない「0汁三〜四菜」の食事スタイルが多いのです。
このような事実は一般にはあまり知られていません。

「一汁三菜」は、食事バランスが良いというイメージで定着していますが、もし、あなたの指導する患者さんが、健康のために毎食「一汁三菜」を食べているならば、かなりの食塩量を摂っているかもしれません
病院や施設献立では1日3回の食事全てに漬物や汁物を入れることはできません。

日本人の栄養摂取基準である食塩量に合わせると、和食のモデルである「一汁三菜」は1日に1回あるかどうかで、残りの食事は漬物や汁物のない「0汁三〜四菜」の食事スタイルが多いのです。
このような事実は一般にはあまり知られていません。

「一汁三菜」は、食事バランスが良いというイメージで定着していますが、もし、あなたの指導する患者さんが、健康のために毎食「一汁三菜」を食べているならば、かなりの食塩量を摂っているかもしれません

食事バランス vs 減塩

どちらも大切な食事指導ですが、現在の日本の食生活では、両方の大切な要素が相容れないのです。
患者さんの体を守るためには、どんな食事指導をしたら良いのでしょうか。
また指導者自身も、どのように自分の体を守っていけばいいのでしょうか。

→次のセッション以降もご覧ください


【ちょっと一言】
病院の減塩献立は「0汁三〜四菜」が多いとお話ししましたが、それだけではなく、朝食には特別注文の無塩パンを使用しているかもしれません。
食パンには通常6枚切り1枚に0.8gの食塩が入っています。その食塩を使っていないのが無塩パンです。
朝食に無塩パンを使うと、昼・夕食の料理の味付けに食塩0.8gを使うことができるため、味付けを濃くすることが出来ます。
ただ、なかなか市販品として売っていないので、退院後は病院と同じように無塩パンを買うことは難しいです。
パンも市販食品も外食も、何を買っても食塩量が入って来る食生活で、どのように自分の体を守っていくのか
後ろのセクションで、その解決方法をご紹介します。