減塩指導では、よく減塩レシピを患者さんにお渡しします。
また、減塩料理の書籍を買って、その通り作りたいとおっしゃる患者さんもおられます。
ただ、レシピ通りに作ろうと思うと、大変難しい問題に突き当たります。なぜ、作れないのでしょうか。

フライパン法で作る

フライパン法とは、フライパン(鍋)に一定量の調味料を入れて調理し、全量盛り付けることで食塩を量を決める調理方法で、炒め物や煮物など鍋を使った料理に応用できる、減塩の調理方法です。
病院や施設給食で献立が決まっている時の少量調理で用いられますが、家庭の少量調理に適した、とても簡単な減塩調理方法なのです。

計量スプーンは必須アイテム

ここだけは、目分量ではなく「計量スプーン」で調味料を計量することが大事です。
味がブレることなく、いつも美味しくて体にも優しい味付けになります。
毎日の主菜を減塩するための、味付けの基本になります。

主菜を食塩 1.0 gに作る

食塩の寄与率が最も多い「主菜」は、平均すると1.5gの食塩を含みます。
誰もが好きな「照り焼き」を、フライパン法を使って食塩1.0gに作ってみましょう。
照り焼きは、甘さと塩辛さが釣り合うと美味しくなります
甘さを必要以上に加えると、必要以上の塩辛さがないと美味しくありません。
両方を適量を入れて、本来の素材の味を感じながら、薄味でおいしく味付けが出来る方法です。
食塩1.0gの主菜は普通に美味しいのです

 

 

食塩の寄与率が最も多い「主菜」は、平均すると1.5gの食塩を含みます。
誰もが好きな「照り焼き」を、フライパン法を使って食塩1.0gに作ってみましょう。
照り焼きは、甘さと塩辛さが釣り合うと美味しくなります
甘さを必要以上に加えると、必要以上の塩辛さがないと美味しくありません。
両方を適量を入れて、本来の素材の味を感じながら、薄味でおいしく味付けが出来る方法です。
食塩1.0gの主菜は普通に美味しいのです

 
(1) フライパンに油を敷いて、肉(魚)を焼く。
   肉は牛、豚、鶏肉全てOK。薄切り、厚切りでも全てOK。
     魚は塩魚は不可、生魚の切り身が良い。
(2) 具材に火が通ったら、しょうゆ、みりん(塩が入っていないもの)、酒(塩が入っていないもの)を入れる。
   調味料は全て1:1:1が基本。人数が2人前なら小さじ2、3人前なら小さじ3(=大さじ1)をフライパンに入れる。
(3) 調味料の汁気がなくなるまで煮からめる。
   焦がさないように注意しながら、しっかり味をつける。
(4) フライパンの中を全て盛り付ける。これで食塩1.0gの主菜の出来上がり。
   調味料を一滴も残さないように、盛り付けるのがコツ。
(5) 肉(魚)にしっかり味がついているので、味付けをしない茹で野菜を添える。
【ちょっと一言】
インターネットやテレビの料理レシピは、かなり塩辛いものが数多く見られます。
減塩のおすすめは1人分の醤油は小さじ1(5ml)ですが、これらのレシピは1人分が醤油大さじ1(15ml)以上のものもあります。
これだと、減塩レシピの3倍量、主菜だけで3.0gの食塩が含まれます。
なんと1食分の食塩量を超えてしまいます。

もちろん、食べない煮汁も含まれている場合もあるかもしれませんが、その際の減塩は個人の食べ方に任されます。
盛り付けた分は全量食べても大丈夫というのが安心ですね。
                                          しょうゆ大さじ1は食塩3.0g →→→  
1人分には食塩が多すぎます!           
顆粒だしにも食塩が含まれています。 
【耳寄りな話】
最近の調理方法に、コンテナ料理(フードコンテナに食材・調味料を入れて冷凍したものを電子レンジで加熱する調理法)やポリ袋料理(ポリ袋に食材・調味料を入れたものを湯煎で加熱する調理法)があります。
これもフライパン法の考え方と同様に、減塩で計量した調味料を入れ、全量盛り付けると減塩料理を作ることができますね。

汁物を食塩 1.0g に作る

私たちが美味しいと感じる汁物の食塩濃度はおよそ0.7-1.0%です。
減塩のためにとこれ以上薄味にすると、味がしないなどと評価が低くなることがあります。
今回は、味を一定に量を少なく調整することで考えてみましょう。

この写真は大きさの異なる3種類の汁椀です。
左:ちょっと上等な小さめの塗り椀。容量は100ml。食塩1.0gでも満足感はあります。
中:一般的な汁椀。容量は150ml。1%濃度の汁物なら1.5gの食塩になります。
右:大きめのお椀。容量は200ml。1杯で食塩2.0gになり、過剰な食塩摂取になります。
お椀の大きさとみそ汁の食塩量
私たちが美味しいと感じる汁物の食塩濃度はおよそ0.7-1.0%です。
減塩のためにとこれ以上薄味にすると、味がしないなどと評価が低くなることがあります。
今回は、味を一定に量を少なく調整することで考えてみましょう。

この写真は大きさの異なる3種類の汁椀です。
左:ちょっと上等な小さめの塗り椀。容量は100ml。食塩1.0gでも満足感はあります。
中:一般的な汁椀。容量は150ml。1%濃度の汁物なら1.5gの食塩になります。
右:大きめのお椀。容量は200ml。1杯で食塩2.0gになり、過剰な食塩摂取になります。
【ちょっと一言】
汁物の多い患者さんへの指導では、普段使っているお椀の大きさもチェックしてみましょう。
給食で提供する場合は、汁椀の大きさは患者さんにとってあまり問題とはされないようです。
味噌汁の量を少なくする方法は、味を薄めるよりも減塩と気づきにくいのでお勧めです。

続けられる減塩を目指す

減塩指導には、指導、演習、実習など様々な方法がありますが、患者さんが自宅に帰った後でも一人で出来ること、それが習慣化することが大切です。
誰でも簡単に減塩料理が作れて、食材のアレンジが自由にできれば継続しやすくなります。

ここでは主菜と汁物の減塩調理方法について説明しましたが、副菜に減塩も大変重要です。
特にごく少量の食塩で美味しく食べられる料理や無塩料理の指導は欠かすことができません。
【まとめの一言】

目に見えない塩を減らすことは、やはり簡単なことではありません。
だからと言って、食生活が何も変わらなければ、患者さんの問題は解決はしません。

このサイトでは、色々な減塩指導の方法を紹介しましたが、どれが一番良いとかはありません。
患者さんに適した方法を考えるのは、専門家にしか出来ない指導だと思います。
毎日の楽しい食生活を減塩で戦わせるのではなく、ふわっと包み込むような心地良い減塩生活に導く事が出来ましたら、これほど嬉しいことはありません。

このサイトに関して、ご意見や体験談、質問等ありましたら、お問い合せからご連絡ください。お待ちしております。

最後のセクションで、基本的な減塩情報も記載しています。

 ↓
減塩の基礎知識のページをご覧ください