減塩料理教室のススメ

減塩料理教室は、退院後の患者さんや外来患者さんの家庭料理に減塩を定着させることを目的とするものです。
そのためには、家庭料理に必要な減塩の知識と技術をしっかりとり入れ、それ以外の要素(例えば減塩とは関係ない調理のコツ、プロの手技など)は、集中力が分散しないように、極力入れないことが重要なのです。
その方針のもと、私たちは「家庭で継続して出来る減塩」を目指した料理教室の、教育と実践と効果の検証を目的に、料理教室を行いました。
まずは、減塩を達成するための教育要素の三本柱についてご説明します。

 ↓
出典:「日本の家庭料理における減塩のための料理介入(料理教室)の開発:戦略と評価」

Miyuki Imamoto, Toshihiko Takada, Sho Sasaki, Yoshihiro Onishi: Development of a culinary intervention (cooking class) for salt reduction in Japanese home cooking – Strategies and assessment., AJPM Focus 2024

減塩料理教室は、退院後の患者さんや外来患者さんの家庭料理に減塩を定着させることを目的とするものです。
そのためには、家庭料理に必要な減塩の知識と技術をしっかりとり入れ、それ以外の要素(例えば減塩とは関係ない調理のコツ、プロの手技など)は、集中力が分散しないように、極力入れないことが重要なのです。
その方針のもと、私たちは「家庭で継続して出来る減塩」を目指した料理教室の、教育と実践と効果の検証を目的に、料理教室を行いました。
まずは、減塩を達成するための教育要素の三本柱についてご説明します。

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出典:「日本の家庭料理における減塩のための料理介入(料理教室)の開発:戦略と評価」

減塩料理教室の教育三本柱

目標1 食塩を控えた主菜を美味しく作る

①減塩の主菜を、確実で簡単な方法で作ります。
具体的には、調理に用いる調味料を計量した上で鍋に入れ、鍋の中の料理を煮汁ごと全良食べるという方法です。
主菜と副菜が一番大きな食塩源であることから(→日本人の食塩源をご覧ください)、まずは主菜の減塩料理の基本を教えます。
 

目標2 低塩・無塩の複数の副菜で栄養バランスを保つ

①卓上調味料がなくても美味しい味付けにします。
具体的には、酢、香辛料、だしの利用など、減塩の工夫を多いに利用します。
2番目に大きな食塩源は副菜です。
副菜の皿数が増えると高食塩摂取となることから、食事バランスとの両立には副菜の減塩が必須です。
減塩しても美味しくなる様々な工夫を活用します。

野菜、芋、豆、海藻料理、果物、乳製品を用いる
料理教室では、その時の食事バランスや栄養バランスが求められます。
普段不足しがちな、野菜、芋、豆、海藻料理、果物、乳製品を用いて、さらに低塩・無塩の献立にします。
特に牛乳・乳製品や果物料理は、主食を中心とした普段の料理と一緒に入って来ないので、努めて加えたい料理です。
 

目標3 食塩の多い食品を除く

①味噌汁や漬物のない献立を体験して頂きます。
地域によりますが、食事には味噌汁や漬物があるのが当たり前と考えて、それが習慣となっている場合があります。
まず、味噌汁や漬物がなくても美味しい食事であることを知って頂くことが重要です。

白ご飯の物足りなさを、味や香りをつけると解消出来ます。
白ご飯は、味噌汁や漬物と相性がよく一緒に食べることが多くなります。
そこで、いつもの白ご飯に普段摂りたい無塩や減塩の食材を加えて、味噌汁や漬物がなくても満足出来るように設計します。
 
【ちょっと一言】
料理教室は、知識、技術、味の体験など複合的な効果が期待できる、貴重な学びの機会です。
さらに地域の仲間づくりや、一緒に作業する楽しみ、共食の楽しみもあります。
治療食を学べる料理教室がもっと広まればと思います。

減塩料理教室のサンプル

実際に減塩料理教室で行った献立を示します。
減塩教育の三本柱に従って家庭料理向けにしたもので、従来なら4.0-7.0gある献立を、1.9gの減塩献立にしました。
さらに、各家庭でアレンジして食生活に組み込むことのできる減塩技術を伝えるように工夫しました。

Miyuki Imamoto, Toshihiko Takada, Sho Sasaki, Yoshihiro Onishi: Development of a culinary intervention (cooking class) for salt reduction in Japanese home cooking – Strategies and assessment., AJPM Focus 2024

実際に減塩料理教室で行った献立を示します。
減塩教育の三本柱に従って家庭料理向けにしたもので、従来なら4.0-7.0gある献立を、1.9gの減塩献立にしました。
さらに、各家庭でアレンジして食生活に組み込むことのできる減塩技術を伝えるように工夫しました。
【ちょっと一言】
今回の献立は、全国共通の、何処にでもある食材を使った献立にしました。
一見、面白くないかもしれませんが、目的は減塩の学びです。
学びが終わったら、応用編(減塩工夫を使った楽しい料理)もいいですね。
私たちは、この学びの次の料理教室では、酢とガリ(生姜の甘酢漬け)と白胡麻を混ぜた寿司飯で手毬寿司を作り、減塩料理を楽しみました。

減塩料理教室の効果

上記の料理教室に参加した地域住民43人と参加しなかった地域住民52名について、料理教室前と料理教室2ヶ月後の尿中Naによる推定食塩摂取量を比較しました。
図のように、料理教室参加者で減少が見られ、減塩料理教室は効果があるとわかりました。
料理教室に参加したグループと参加しなかったグループの特徴の違いを補正した解析効果は1.38gと推定されました。
 

Miyuki Imamoto, Toshihiko Takada, Sho Sasaki, Yoshihiro Onishi: Development of a culinary intervention (cooking class) for salt reduction in Japanese home cooking – Strategies and assessment., AJPM Focus 2024

上記の料理教室に参加した地域住民43人と参加しなかった地域住民52名について、料理教室前と料理教室2ヶ月後の尿中Naによる推定食塩摂取量を比較しました。
図のように、料理教室参加者で減少が見られ、減塩料理教室は効果があるとわかりました。
料理教室に参加したグループと参加しなかったグループの特徴の違いを補正した解析効果は1.38gと推定されました。