1日あたりの望ましい食塩量

日本人の栄養摂取基準2020では、1日あたりの望ましい食塩量は男性7.5g、女性6.5g
図のように、日本人の栄養摂取基準は、改定ごとに食塩摂取量が下がります。
一方、日本人が摂取している食塩量は男女平均して10g程度が続き、ほとんど変わっていないのです。
求められる食塩摂取量と現状との差は、どう指導したら縮まるのでしょうか。

出典:厚生労働省(→詳しくは「減塩の基本情報」のセクションをご覧ください)

さて、高血圧で求められる食塩摂取量は「1日6g未満」。
この数値は、エビデンスに基づいた血圧を下げる数値で変わっていません。

このように、医療関係者は食塩を数値で理解し、食事摂取基準やガイドラインに合わせて患者さんに指導します。
では実際に、食塩6g未満とは、どれくらいの量なのでしょうか。

グラムで伝える難しさ

減塩指導で食塩の量を伝えるときは、いつもグラム(g)で指導します。
患者さんは食塩の重量だとわかりますが、具体的に理解するのは難しいものです。

食品の食塩は、ナトリウムから換算された食塩相当量として表記されています。
ナトリウムとなると、目で見える範囲でもなくなりますので、食塩よりさらに厄介ですね。

さて、管理栄養士が考える料理や食品の食塩の量は、大変、微量です。
料理や食品の食塩は、0.1g、0.2gなどのわずかな量でも、味が違うことを知っています。
それを少しずつでも減らしていき、全て合計して1日分の食塩量が基準通りになるように考えます。
このようにして病院や施設の献立は作られているのですが、この手法は患者さんには難しいのです。

では、食塩6gを患者さんの実生活に照らし合わせて、具体的に掘り下げてみたいと思います。

市販の計量スプーンで説明

一般的に用いられる計量スプーンには大さじ、小さじがあります。
これを使うと、食塩の大さじ1杯は18g、小さじ1杯は6gに相当します。ただこれでは量が多すぎます。
食塩を「1g」で考えてみた場合、塩1gは、精製塩なら小さじ1/6、天然塩なら小さじ1/5に相当します。
また、醤油なら小さじ1に相当します。醤油が一番計りやすそうです。
それでも、「1日の食塩は6g未満」と言われても、それだけでは食生活は変わりません。
1日の食塩を全て醤油に換算した場合は、食塩1g=醤油小さじ1杯ですから、1日あたり小さじ6杯となります(大さじなら2杯)。
朝昼夕と3回に分けると、1食で醤油小さじ2杯ずつです。
次は、食塩2gのイメージを示します。
白いご飯と、おかずは刺身、冷奴、ほうれん草お浸しの3品です。
この3品のおかずは無塩です。

左の図のように、味噌汁がない場合は、3品のおかずに醤油を小さじ2杯分を使います。
右の図は味噌汁がある場合で、味噌汁に1.5gの食塩を使うので、3品のおかずに小さじ1/2杯の醤油を使います。
味噌汁を摂るだけで、おかずの味付けはかなり制限されてしまいます。

食塩2gの食事はこんなイメージです。

食品ラベルの食塩量で説明

市販食品の食塩量もチェックする必要があります。
図のように、市販食品の食塩量はパッケージの栄養量の最後に記載されています。

患者さんが食品を購入する際には大いに活用できますが、惣菜などで食塩量が書かれていないものもあります。
また外食では食塩量はほとんど書かれていないという限界があります。
市販食品の食塩量もチェックする必要があります。
図のように、市販食品の食塩量はパッケージの栄養量の最後に記載されています。

患者さんが食品を購入する際には大いに活用できますが、惣菜などで食塩量が書かれていないものもあります。
また外食では食塩量はほとんど書かれていないという限界があります。

食品中の食塩量一覧表で説明

減塩指導で伝えるべき内容の一つに、図のように食品中の食塩が調べられています。
患者さんがよく食べる食品が、この中にあればいいのですが、あまり食べない食品であったり、食塩重量が理解できなかったりするかもしれません。

減塩指導で多くのデータを示しても、患者さんがデータを正しく理解して実践するのは難しいものです。
消費者庁:栄養成分表示を使って、あなたも食塩摂取量を減らせる
減塩指導で伝えるべき内容の一つに、図のように食品中の食塩が調べられています。
患者さんがよく食べる食品が、この中にあればいいのですが、あまり食べない食品であったり、食塩重量が理解できなかったりするかもしれません。

減塩指導で多くのデータを示しても、患者さんがデータを正しく理解して実践するのは難しいものです。

重量より内容を理解する

栄養指導では「食塩を1日に◯g未満にしましょう」と伝えることは必須事項なのですが、それだけでは不十分。
本当に知って欲しいのは、重量を覚えることではなく、その内容を理解することなのです。

次のセクション以降もご覧ください。